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2015年7月18日土曜日

Single ended induction heater その2

こんばんは、kktです。
前々回記事でシングルIHの試作(一号機と命名)をしました。安定版の完成が間近なのでお知らせします。

まず、一号機の欠点ですがPFC機能を追加したせいで、出力電力の調整がボリュームでしか行えないこと(外部から電圧で制御できると何かと便利じゃん?)、入力電力を一定にしようとするとCTが2つ必要であること、などが挙げられます。解決にあたって、電力調整の問題はOPアンプとかで入力電流を割ってやれば電圧でコントロールできそうですが、後者のCT問題は回路の構成の変更が必要です。また、一号機の回路はゼロボルト検出を早めに行こなっているのにもかかわらず遅れ時間をろくに取れないという致命的な欠陥があったので大幅に回路を変更しました。
新しいブロック図
  
一号機のCT電流検出→FFリセットの流れはいまいちだったので一新。三角波を生成して電圧で完全に出力をコントロールできるようにします。この方式ですと定数の調整が難しいですが、CTなしでもOFFタイミングを生成できるので採用です。実験的に555等のタイマーICでもOFFタイミングを生成して動作させましたが問題なく動作しましたので記しておきます。

三角波の斜辺は入力電圧に対する直線性を決めるのに重要なパラメータですので単なるCR充電時定数によるものではなく、カレントミラー回路による定電流回路で構成します。ちなみに一般的には三角波はゆっくり充電し、一瞬で放電するスロープ充電が使われるようですが今回は動作のわかりやすさを考慮して三角波の立ち上がりが一瞬で上がるスロープ放電を使用しONタイミングを優先するように回路を構成しています。VRはPWMコンパレータに入力する比較電圧を決めるもので、これで出力電力を制御します。
この三角波発生回路にトリガ用の矩形波を入力するとこうなります。
  
これはファンクションジェネレータから信号を入力しているので入力インピーダンスが高く若干立ち上がりが訛っていますが、実際に実装する際は前段にバッファを入れるので問題なくなるはず。画像では20uS程度ですが、IH動作中の最大ON時間くらいにスロープの時間を決めます。
バッファと立ち上がりトリガの微分回路も入れると結構綺麗になります。
 悪くなさそうです。
 このキャプチャは実際にIH動作中の波形です。素子の最大ON時間は30uSくらいで十分だったので少しフラットな部分ができていますが動作には問題ありません。この三角波と制御電圧をコンパレータに入れれば矩形波ができてIGBTをドライブして共振回路を駆動します。

現状高耐圧のIGBTが家にありませんので現在の回路では300W程度までしか動作確認していません。近々注文する予定なので1kWくらい入力して損失が十分少ないようでしたら回路図を上げようと思います。
 それでは、今日はこの辺で。

おまけ
CPUクーラ上のMOSFET氏
 ATX電源に使われていた素子で500V15Aくらいです。ON抵抗が0.35Ωですがピーク電流が50A流れると18V弱電圧が生じるのでこういう用途だと1200V耐圧でも飽和電圧が2.0V程度のIGBTに優位性があるのがよくわかります。

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